「BARF」って聞いたことある?
犬に生の肉や野菜をあげるやつだね。
海外では、「BARF」と呼ばれる犬の生食が最近話題になっています。
生肉と生野菜をふんだんに使っており、犬は大喜びなんだとか。
BARFのごはんはこんな感じ。
そもそも犬はもともと肉食動物。
人間と住むようになってからは野菜や穀物も食べる「雑食」ともいわれますが、消化器官の基本的な構造は肉食動物です。
さらに犬は人間とは比べ物にならないほど強い消化液を持っているので、生肉に含まれる多少の細菌でお腹を壊すことはないと言われています。
そのため犬に生食を与えることは、調理済みで添加物まみれののドッグフードを与えるよりも、「自然」と言えるかもしれません。
私はBARFの理論に賛成だけど、実際には取り入れないつもりだよ。
どうして?!体によさそうだよ。
こんな疑問を抱えていませんか?
- そもそもBARFって何?
- 犬に生肉をあげても大丈夫なの?
- BARFのメリットとデメリットは?
上記について、様々な文献を引用しながら検証していきたいと思います。
それでは見ていきましょう。
BARFとは
BARFとは、オーストラリアの獣医師イアン・ビリングハーストが1993年に提唱した、独自の犬・猫の食餌方法。
「Biologically Appropriate Raw Food(生物学的に適切な生食)」の頭文字を取った略語。
ビリングハースト獣医師によると、犬は草食動物をまるごと食べることで、理想的な栄養バランスを取ることができるんだそう。
草食動物の体を下記のように分類しています。
- 全体の60~70%・・・肉と骨
- 全体の15%・・・内臓など
- 全体の15%・・・消化されかかった野菜など
- その他(昆虫、土、樹皮等)
草食動物が途中まで消化した野菜を食べることで、肉食動物は自らの体に上手く取り込むんですね。
BARFは生肉だけでなく、ズッキーニ、人参、オレンジなどの生野菜やフルーツをバランスよく取り入れており、栄養面バランスを考慮した献立が作られます。
犬に生食を与えるメリット
①加熱したドッグフードにはない、酵素やバクテリアを摂取できる
通常市販のドッグフードは加熱処理をされますが、その際に酵素やバクテリアなど、犬にとって必要な栄養素を失ってしまいます。
そのため、肉や野菜を生で食べることで、下記のような効果が得られると考えられています。(参考文献1)(参考文献2)
- 便通の改善
- 消化器官への負担軽減
- 免疫機能の活性化
- 毛質の向上
- 糖尿病、アレルギー、癌など慢性疾患のリスク低下
私達人間も、伝統的には漬物や納豆、さらにチーズやヨーグルトなどといった発酵食品から、乳酸菌などの酵素を摂取しますよね。
これらの体に良い影響を及ぼす菌は、実は生の肉や野菜にも豊富に含まれています。
野生動物は生食によって酵素を摂取しているのです。
添加物がほとんど含まれない
市販のドッグフードには大量の添加物が含まれていることは、もうご存じですよね。
長期間保存できるドッグフードは便利なものではありますが、長持ちするということは、防腐剤やその他の添加物が大量に含まれているからです。
犬の慢性疾患はこれらの添加物によるものだという見解もあります。(参考文献)
ドッグフードを毎日与えるということは、毎日カップラーメンを与えるのと同じだと思うんだ。
ドッグフードは手軽だもんね。
なぜなら、現在私たちが手に入れることのできる肉のほとんどは、工場型畜産の産物だからです。
工場型畜産では、下記のようなものが使用されます。
- 不衛生な環境で感染症を防ぐための抗生物質
- 生産効率を上げるための成長促進剤
これらを浴びるように摂取して育った畜産動物たちの肉は、もう安全とは言えないのです。
野生のころのままの自然な食事
犬は雑食ともいわれますが、分類学的には肉食動物であり、犬の体は生肉を食べるのに適しています。
犬の消化器官は短く、体内で腐敗しやすい肉を消化するのに適しています。
さらに歯や顎の構造を見てみると、まるでハサミ。
顎は上下にしか動かず、肉や皮をを引き裂くためにこのような構造になっています。
さらに犬は人間とは比べ物にならないほど強い酸性の消化液を持っています。
強い酸性の胃液が、生肉に含まれる雑菌を殺し、病気を防ぐことができるのです。
以上の理由から、犬にとって生食は、本来体に適した食事に近いといえるでしょう。
食材をまるごと食べることを理想とする「ローフード」という食事法がありますが、
犬にも同様に、生きた草食動物をまるごと食べさせることが理想と考える人たちもいます。(参考文献)
犬に生食を与えるデメリット
「生食=健康・安全」とは一概に言えない場合があります。
犬に生肉を与える場合は、その肉がどこからきていて、どのような衛生状態で保存されているのか、真剣にチェックする必要があります。
「自然=安全」とは限らない
元々は生食をして生きてきた犬にとって、生食は自然です。それは間違いないです。
しかし、「自然=健康」「自然=安全」ではない可能性があります。
理由は単純。自然界でも野生動物は病気になるから。
不自然なものに囲まれて生きる私達にとっては、「自然な食べ物=安全、長生きできる」という考えをしがちですが、
逆を取れば「自然=ノーガード、危険」でもあります。
例えば生肉にはノロウイルス、サルモネラ菌、腸管出血性大腸菌O157など、体に悪影響を及ぼす菌が繁殖している場合もあります。
最悪の場合、死に至るケースも。
自然界は弱肉強食の世界。
上記のような菌に当たっても、運が悪かったから仕方がない、ということになります。
さらに、完璧に見える自然界の野生動物でも、寄生虫、栄養失調、感染症などが萬栄しているということも、忘れてはなりません。
ペットにとって、「自然=安全」とは一概に言えない。
ペットは家族である以上、飼い主には、ペットを危険から守る義務があります。
自分の子供がお腹を壊さないように食べ物の衛生状態に気を付けるのと同じです。
食中毒などのリスクがあるという点が、生食における最も大きなリスク。
特に老犬、持病のある犬、体の弱い犬などは、注意が必要です。
生食の品質を守る法律などがまだ十分整備されていない
スーパーで買った肉は、基本的に生で食べることを想定していません。
そのため危険なバクテリアが含まれている可能性があり、おすすめできません。
必ずペット用の生肉を買ってください。
しかし、生食の衛生状態などを規制する法律や規制は、現段階では不十分です。
安全と思って購入したものでも、ノロウイルスで愛犬が高熱を出して取り返しのつかないことになった、などということは十分あり得るわけです。
いくら信用できそうな肉でも、100%安全とは言い切れませんからね。
ペットはもう野生ではない
犬の先祖とされるオオカミが生の肉を食べているとしても、
生まれた時から加工された食事を与えられているペットにとっては、逆に生の肉が消化できない可能性があります。
少なくとも野生育ちのオオカミと、犬が同じ食事を必要としているとは限りません。
これは犬が、長い間人間と共存してきたことが影響しています。
ペットはもう野生ではないのです。
結局どうすればよいのか
犬に生食を与えるメリットとデメリットを、ニュートラルな視点で分析してきました。
ここまで知ると、結局どうすればよいのか分からなくなってしまいますよね。
もちろん、人それぞれ異なった考え方があり、犬によっても合う合わないがあるでしょう。
個人的にはBARFの生食の考え方に大賛成ではありますが、大きなリスクを容認してまで生肉を与えようとは思いません。
愛犬に人間用生肉を与えて、嘔吐してしまったことがあるよ。消化器官に負担がかかってしまったらしいんだ。
そのため我が家では、下記のようにしています。
- 添加物不使用の高品質なドッグフード…全体の80%
- 火を通した肉や魚・・・全体の10%
- 小さく切ったオーガニック野菜・・・全体の10%
- その他トッピング
リスクのない程度で、手作りのものを混ぜていくのが最も安全だと思います。
愛犬には幸せで健康な犬生を
犬の生涯はあっという間。
だからこそ我が家では、一日一日を「幸せに」過ごしてもらうことにしています。
毎日食べるものだから、大好きなごはんでなくではいけません。
それでいて、人間が食べても問題ないくらい高品質なものである必要があります。
我が家では愛犬の健康のために、動物性タンパク質をベースにした高品質なごはんを与えています。
何か月もかけて調べて、やっと「これならいいかも」と思えるごはんを見つけたんだ。
原材料を隅々まで読み、調べつくした結果、出した答えが「モグワン」。
- 本当は手作りしてあげたいけど、時間的に難しい
- ドライフードは添加物が心配
- 手作り食は栄養バランスが気になる
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まとめ
いかがでしたか?
まとめると、
犬に生食(特に生肉)を与えることは、大きなメリットもある一方で、命に関わる大きなリスクと隣りあわせ。
ドッグフードだけでは飽きてしまうことも多く、
手作りのごはんを入れてあげることはワンちゃんにとって、食べる喜びに繋がります。
大切な愛犬の健康のために、是非参考にしてみてくださいね。
ペットのヴィーガン事情についてはこちら。
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